群馬大学病院(前橋市)で肝臓手術を受けた患者が相次ぎ死亡していた問題で、遺族側の弁護団(団長・安東宏三弁護士)が、開腹手術後に死亡した患者2人の遺族から新たに依頼を受け、診療内容の独自調査に乗り出すことがわかった。
弁護団はすでに腹腔鏡手術の死亡者について調査しているが、今後、開腹手術も含めた全容解明を目指す。
群馬大病院第二外科では、同じ医師による肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者8人、開腹手術の患者10人が手術後に死亡。病院側は今月、腹腔鏡手術の8人について調査報告書を公表した。
弁護団も、腹腔鏡手術の2遺族から依頼を受け、カルテや手術映像を分析した結果を公表。執刀医らの聴取不足などを理由に「病院の調査は不十分」と指摘し、再調査を求めていた。
開腹手術では、これまで弁護団に相談していた遺族のうち2遺族が正式に依頼。専門家の協力も得て、病院から開示された記録を基に診療内容の問題点を調べ る。病院側の調査では、腹腔鏡同様、患者への説明やカルテ記載などの問題が指摘されている。病院は5月頃に開腹手術の調査結果をまとめるとしている。
弁護団は「開腹手術も含め患者が18人も死亡するまで執刀医が手術を続けた理由やそれを許した病院内の体制の問題を明らかにし、全容を解明したい」としている。弁護団は新たな相談も受け付けている